Web広告(レップ)のマーケティング社畜の備忘録

日々のニュースや雑感を備忘録的にまとめます。

【雑感】インターネットは本来、牧歌的な風景が広がっていた

年末に記事を読んでいると、ふと以下の記事が目についた。

www.huffingtonpost.jp

内容は、インターネット上では互いの立場からしか発言せず、自分と異なる意見には、攻撃的になる。

結果、分かり合えない世界になってしまった、という内容だ。

良くある意見だが、テキストサイトや2ちゃん黎明期からネットを触っていた僕は、インターネットが元々分かり合えない訳では無いと思っている。

 

■インターネットが"ネット住民"のものだった頃

インターネット初期は「ネット住民」という言葉に代表される、一くくりのコミュニティが存在した。そこには細かい衝突こそあれ、基本的には共通の文化や言語が存在し、今思えば牧歌的な風景が広がっていた。

それは、インターネットはあくまでインターネットという"独立したコミュニティ"だったからだ。

1つのコミュニティであるからこそ、ある意味では村社会的な同調圧力があった。

※「ギコ」や「モナー」等のキャラクターや、ネットスラングはその表れだろう。

 

■ネットの普及が、現実社会との垣根をなくした

普及しきったネットは、既に「現実の拡張ツール」となり、現実の人間関係や思想が持ちこまれた。
その結果、そもそも「分かりあえない人間達」がそのままネットに入ってきた。
それに拍車をかけるのが「リコメンド」という「見たいものを見る」機能に加え「ブロック」という「見たいものをみない」機能だ。
自ら発信する内容に賛同する人間や反応のみが帰ってくる。更に自分が正しいと思うようになる。のスパイラル。

「元来、分かり会う気の無い人たち」が「分かり会わなくても楽しく過ごせる」アーキテクチャをもったのが、今のインターネットと言えるだろう。

僕が、前述のブログ意見に違和感を持つのは、あたかも「インターネットなら分かり合える道具になるハズ」という前提を元に書かれている様に見えてしまうから。

既に過去には戻れない。インターネットは、現実の拡張ツールであり延長線上にある。

分かり合うという意思を持たないといけないのは、あくまで我々「人間」なのだ。

【雑感】大企業とベンチャーが一緒に仕事をする時に注意したい事

本年も仕事は、25日で仕事が終了。

今年は4月に出向先から帰任し、本籍の会社に戻ってきました。

出向先は大企業で、2年半ミッチリ鍛えて頂き、成長も実感。

今は向き合う形で仕事をしているので、良く話題になる

【大企業とベンチャーの違い】を【ベンチャーが一緒に仕事をする】観点でまとめようと思います。

まずは、意外と知らない「大企業の組織を知る」という観点から、ポイントを3つにまとめてみました。

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前提1:大企業のエスカレーションフローは膨大!!!

大企業では何かしらの稟議を取る場合に、多くの人から稟議を取る必要があります。

ざっくりですが、平均して5名~6名から承認をとるイメージ。

その中で、事前に契約内容や必要性を知っている人は1名~2名です。

良く「大企業は動きや判断が遅い」と言われるのは、こうした構造の為なのです。

では、これを踏まえて仕事を円滑に進める為に注意すべき事は何でしょうか。

 

前提2:担当者の仕事は「正しい判断を行う事」

現場の担当者でも、業務においていわゆる"作業業務"を行う事は稀です。

基本的には、目的を達成する為にヒト・モノ・カネを如何に分散させるかを”判断”する事が仕事になります。

特に重要なのは「間違った判断をしない事」なので、いわゆる「洗い出し」「幅広」といったキーワードの元、様々な案の網羅と評価が求められます。

 

前提3:チームが異なれば、別企業

全ての大企業に当てはまる訳では無いと思いますが…。

そもそも社員や事業領域が広いので、部署が違えば同じ会社の事でも、全く知らない事が多いです。また、縦割りなのでチームが違うと知らない事だらけ…という事も。

大企業の複数部署と仕事をしている出入り業者が、中の人よりも社内に詳しい事もあり得ます。

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上記を前提として、仕事をしていく注意点は何でしょうか?

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前提1:大企業のエスカレーションフローは膨大!!!

→注意点1:一人歩きできる資料を作ろう!

多くの社内関係者を説得するにあたり、全員に口頭説明が出来れば良いのですが、多忙な上司も多い大企業では、稟議書に添付する形で確認を依頼する事もあります。

その時、こちらからの提案資料が先方内でつかわれる事は、大きなメリットになります。

内容のコントロールが出来ますし、先方の手間も少なくなるので重宝してもらえます。

その際、注意すべきなのが「一人歩きできる資料」にする事です。

「一人歩き」とは、「誰が見ても認識の齟齬が無く、また責任が取れる内容である」という事。

曖昧な表現を極力配慮し定量的に、裏付けのある固い数値や目標を記載する事が重要です。

 

前提2:担当者の仕事は「正しい判断を行う事」

→注意点2:決め込みの提案はNG。案は幅広で網羅し、結果として推し案を!

先方は判断を間違わない為に、こちら側がベスト案!と思っている案も勿論疑いの目線で入ってきます。

その際、様々な案を網羅した上で判断したんだ!という事を資料ベースで伝える事が重要。

いくら口頭で伝えても、先方は沢山の案件で最適な案を判断する立場の為、忘れてしまいます。

ベンチャーだとスピード感が大事といわれますが、大企業では「正しい選択」を「正しい手段」で行う事が重要。

面倒だと思わず、資料に落とし込んだ上で説得力を持たせましょう。

結果的に先方からの案も含めると、こちら側の当初案と別案がブラッシュアップされ、良い案に進化する事も間々あります。

 

前提3:チームが異なれば、別企業

→注意点3:向き合うチームの意思決定者/文化・文法を理解しよう!

ある1チームと仕事をした経験をもとに、別チームへ同じ方法で挑むと上手くいかない事があります。

例えばAチームは部長が権限を握っているが、Bチームは課長がOK出せば案件が進む…という場合。

また、Aチームは他社事例が無いと進まないが、Bチームは先進的な事例が好まれる等。

勿論、企業としての色合いは一定ありますが、それよりもチーム毎の意思決定者の文化・文法が重要だと思います。

自分達の提案を行う先がどのようなチームなのか、目利きを効かせながら資料に反映させていきましょう!

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以上が、大企業の内外で仕事をした私の知恵です。

大企業はヒト・モノ・カネが潤沢にある為、パートナーとしては非常に有難い存在です。

その為、様々な企業からアプローチを受けるので選別の目は鍛えられています。

信頼感を得れば様々な案件を相談してくれるので、時間や労力はかかりますがそのリターンは十分に見込む事が出来ます。

ベンチャーのスピード感と、大企業の資本。その二つを使える人材を目指していきます!

 

【雑感】小売りは"物売り"では無い!”コト売り”であって欲しい

ユーザーの経験向上が大事!自分達の売り物を正しく定義しよう!という話

皆様は結婚式に出る際、マナーと言われている【ダークスーツ】をお持ちだろうか?

まぁ、一般的な社会人であれば仕事着としても持っているだろう。

私は業務上、私服勤務が許される為、スーツを持っていない。

正確に言うと、セットアップやグレースーツ等、一応仕事でつかえるものはあるが

ダークスーツは一着も持っていない。(胸を張って言う事では無いが…。)

ただ30歳を目前にして、流石にマナーを守らないと、相手方にも迷惑がかかるかなぁ…

と思い、本日久々に(数年ぶり?)にスーツを購入した。

 

前置きが長くなったが、これが洋服の青山でスーツを購入したキッカケである。

こんな動機なので、正直ダークスーツであれば何でもよかった。30分位で帰りたかった。

にも関わらず、スーツの購入を決意してから、約30分程度も”値引き”を餌に様々な提案を受け、辟易してしまった…。

その内容を以下に簡単にご紹介する。

 

①2着目半額セール

これは皆さまもご存じだろう。常にやってるんじゃないか?と思うセール手法。

スーツやコート等を一緒に購入すると、価格が安い方が半額で購入可能、というもの。

私はダークスーツ以外は全く不要だったのだが、店員の方が「買う買わないは置いといてとりあえず…」というので断りきれずに試着してしまった。

この辺り、30分で購入するんだ!と言いながら押し切られる気の弱さも大問題。

途中、ピーコートを持っている事を伝えたのだが「カジュアルすぎる」とカラーコートを引き続きお勧めされる。せめて予算感位聞いてくれ…。

これで10分程度拘束されてしまった。

まぁこの方法は、大々的に知られているし良いかな、と。

どちらかというと、実は余りお得でない事の方が問題かと思おう。以下、計算式。

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①A:49,800円→39,800円とB:59,800円→49,800円 の服を"別々に"2着購入する場合

※多くの服が上記の様に1万円引きだった

 合計:A39,800円+B49,800円=89,600円

 

②A:49,800円→39,800円とB:59,800円→49,800円 の服を"一緒に"2着購入する場合

 合計:A24,900円+B49,800円=74,700円

 となる。実は半額は、単品購入の"値引き前"に適用される様だ。

 その為上記の場合、商品Aの実際の値引き率は「約37.4%」となる。

 ①全体に対しては16.7%の割引率だ。

 これが業界的にどうか?は分からないが、2点目1,000円等のセールもしている事を考えると文言通りのお得感は感じられない…。

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②カードを作ると〇〇円+ptバック

まぁ、これもどこの店舗でもやっている事。だが、説明が長い…。

初年度無料・翌年から年会費がかかる様だが、なんと翌年以降に年会費以上の商品券やサービス券がもらえるらしい。

それに加え、今回もキャッシュバックあるんだから是非!という話だったがカード複数所持が嫌なので断った。※今回は2000円程度のキャッシュバック

しかし、とにかくポイントが多いイメージだった。カード会社と解約率or継続率のコミットでもしているのか…。

 

③ポイントカードの登録

カードを断ると、ではポイントカードをとの事で用紙とペンを出された。

これも断れば良かったのに、押し切られる(略)

これが本当に面倒臭かった。QRコード→空メール→登録完了 だと思いきや、店側が決めた番号を登録しろだの、サイト内のQRコードを見せろだの(500円割引らしい)なんでこんなにユーザーの事を考えてないのか…疲れ切った。。。

私は割引を求めて来たのではなく、スーツを買いに来たのである。

 

④青山アプリのDL

一連の作業が完了すると、更に「アプリをDL頂くとゲームにチャレンジして結果に応じた割引がされる」とご紹介。

もういい加減にして欲しかったが、業務上アプリはチェックしておくか…とDL。

おい、結構重たいじゃねえかこのアプリ。月末に無駄通信したくねぇよ…。

で、アプリ内でも様々な個人情報を入力させられる。こんなもん、さっきのポイント作った時の情報と紐づけてくれよ…。さて、ようやくアプリのホームに辿り着いた。

店員の方「青山のWi-Fiスポットに切り替えて下さい。そうするとゲームが出来ます」

くぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!!!ざっけんなぁぁぁあぁっぁ!!!

俺でもクソ面倒くさいのに、それ40代以上にお願いしたら混乱しか招かんぞぉぉぉ!

早く会計したいんじゃぁぁぁ!!!で、結果300円の割引。

ここでようやく会計が出来た。本当に疲れた。

⑤謎のくじ引き

この時点で疲労感が凄い。ちなみに、③でサイトのQRコードを表示させっぱなしにして、この時にかざす。ブラウザバックしたらどうすんだ…。

解放される…と思った私の前に謎のボックスが出現。

店員の方「一枚お引き下さい」

何なんだ…まだあるのか…。ボックスの中めっちゃ見せてくれるけど、殆ど一緒じゃないか?

店員の方「次回来店でワイシャツ等が〇〇円割引きになります!また、ここにある番号で抽選が出来ます。当選番号は店頭発表なので、お近くにお越しの際は是非!」

…ここまで来て、なおも割引を押してくるのか…とっくに私のHPはゼロである。

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私はスーツを買いに来たのである。気づいたら、刻みに刻む割引攻勢にあっていた!

何を言っているかわからねぇと思うが…状態だった。

青山商事の狙いは分かる。個人情報の収集とコンタクトポイントを作り(③・④・⑤)来店を促す事で、店頭でアップセルをする(①)という事だろう。

実際、接客を受けていて接客の強さはかなりのレベルだと感じた。個人的には苦手だが。

「来店してもらえば、売上に出来る」という自信があるのだろう。ただ、その為の施策が値引きだけであり、またユーザーの事を考えない施策で情報を集めるのは「ユーザーに対してスーツという"モノ以上を売る"」次元にはいけないと思う。

いつまでたっても、競合他社との価格勝負+来店→営業力での客単価向上のループになる。

少なくとも、私は店頭に行きたいと感じなくなった。行きたく無いとすら感じている。

広告にも通じる事だが、常に「ユーザーファースト」。ユーザーありきで導線や商品を考える事が重要だなぁ、と痛感した経験だった。

 

 

schoo(スクー) 今から始めるデジタルCRM を見て。

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の有効性が叫ばれて久しいですが
本当に理解できているのか不安だったので、基本のキから勉強してみました。
内容的には「そもそもCRMって?何に使えるの?」というもので
そのあたりをご存じの方には、知っている内容ばかりかもしれません。

 

私はCRMの業務やツールを使った事が無いのですが、難しそうなのは
ランクやクラスタの「粒度」をどこまで突き詰めるかですね。
"One to One"という程細かくすると、費用対効果が悪すぎるし
大きく切り過ぎてもCRMの意味が無いし。

 

また、デジタルや分析業務と捉えがちですが
最終的に重要なのは「シナリオ作りと施策」というアートの部分かと思います。
本来は、その部分にも重回帰分析等のサイエンススキルも入ってくるはずなので
その辺りの話を聞いてみたいですね。

 

以下、講義を受けた上でのまとめ。
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■講師:株式会社OPT 伴 大二郎
    データマーケビジネス推進部 部長

 

■本講義で得られるスキル

 ①CRMの本質を見極め、ツールやシステムに左右されない考え方を身につける
 ②CRM=分析・ツールの難しい物、というイメージを払拭

 

CRMとは?

・Customer Relationship Managementの略語。
 顧客満足度を向上させる為、顧客との関係を子畜する事に力点を置く経営手法の事。
 ※大量生産・大量消費→消費者個別ニーズにあわせたOne to Oneマーケが重要になった事から注目を集めている経営コンセプト

 
CRMにおける「平等」の考え方

・顧客のタイプ(新規・休眠・リピーター)を問わず均一のサービスを行う事は「自社に対する顧客の貢献」を加味しておらず、平等では無い。
 顧客のタイプ毎に最適なサービス・特典を与える事がCRMの考え方っでは平等である。

 

CRMの進化

・1990年前半に米国で誕生し、後半に日本に上陸した考え方。
 金融機関や小売りを中心にブームになった。
・1990年代…ポイントカード→DMの店舗情報活用が中心
・2000年代…Eコマース→eメールのデジタルへの置き換えが進む
・現在   …オムにチャネル→マルチデバイスという、入り口の多様化とそれに紐づくアプローチ方法も複雑化。
〈具体例〉
・2000年代
 全ユーザーに共通のメール文章を送付。見込み客への到達率は約2%程度
・現在
 接触チャネルが増加し、到達率が上がりやすくなっている。
 また、サイト行動情報の蓄積が用意になり、それを活用したユーザー別の訴求が可能

 

■デジタルCRM導入の効果

・講師の所属するOPTでは、パーソナルCRM導入により既存顧客からの売り上げが大きく上昇。
 一方、新規顧客売上はそこまであがらず。
CRMは確率論。見込みの高い顧客を後押しできる。
 CRMはリアクション。相手の行動を見て提案できるので売れる。

〈アパレル企業→オンライン通販サイト〉
CRM施策実施後、対前年で売上が最大180%増加
・実施したのは、既存顧客の優良顧客向けに割引クーポン発行+顧客属性にあわせた商品紹介
〈ゲーム企業→オンラインゲーム〉
・アクティブユーザーの増加が500%向上
・アクティブ率の下がるタイミングでオファーを実施
 アイテムを付与したり、難易度を下げたり…という施策
※これってCRM?全体のユーザ動向を見た上での一律施策では?

 

CRM施策の分析・考え方

・重要な事は、確率の高い顧客グループを見つける事
 +売れる/買わなくなるタイミングを見つける事。
〈確率の高い顧客を見つける為には?〉
・”デシル分析”…全顧客を売上の多い順に並べ10等分(10グループ)する分析。
・"RFM分析"…Recensy(直近接触) Frequency(頻度) Monetary(金額)の3つの指標で顧客をグルーピング。初期分析では、主にFとMを活用。
※これを見ても、優良顧客を見つける事に特化している事が分かる。
・ランクとクラスターという考え方。
 ランクは先ほどのグルーピングで整理。クラスとは、優良顧客の中でもどういった性質を持つ層かで分ける。
 (ex:最新ファッション大好き大学生と、セール時に大量買いする主婦)
・限界リピートと施策タイミング
 顧客の購入スパンを商品に紐づけて分析すると、”良く購入する時期”と”購入が落ち込む時期”の2つと、それに紐づく購入動機が分かる。

 

■DMP・MAツールの選び方

・DMP(データマネジメントプラットフォーム)は、データを溜める・繋げる役割
 MA(マーケティングオートメーション)は、自動的にユーザとのコミュニケーションを行う役割
 両方に共通する事は、ランク・クラスタ等を作成するシナリオ作成。
〈DMPの種類〉
・プライベートDMP→自社データとWEBデータを繋げる物
 自社データ(サイト内購買情報等)を蓄積。スカートを購入したが、色違いはカートまで行って離脱した事が分かれば、再度その商品を訴求する事ができる。
 会員番号とCookieを紐づけられるので、複数デバイスで見ても一貫して訴求する事が可能
・パブリックDMP→自社以外のデータを持っているもの
 活用する事で自社データ以外の情報を利用可。自社サイト外の情報を利用して見込み客へのリーチができる
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「プロジェクトマネージャー(プロマネ)」という誰でも出来るけど、誰でも成功させられる訳じゃない仕事

4月から業務内容が変わり、いわゆる「プロジェクトマネージャー」を主に担当する事が増えました。

といっても、それ以前もWebメディアの担当者をしていた訳で、業務のフレーム自体は大きく変わらないけども。

そして2か月がたち、自分の中でぼんやりとですが「プロマネ」の形が見えてきました。

最初は”誰でも出来る潰しの効き辛い仕事”と思っていて、それは今も変わりません。

”成功させられる”という条件を満たすには何が必要か?と考えると、その要素も見えてきました。

以下、自分が2か月で感じた事を備忘録的に書こうと思います。

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【誰でも出来る"プロマネ"要素】

①専門的なスキルが必要ない

プロマネとは、Wikipediaでは以下の定義で書かれています。

プロジェクトマネージャ: project manager)とはプロジェクトの計画と実行に於いて総合的な責任を持つ職能あるいは職務である。

プロジェクトマネージャ - Wikipedia

計画と実行について"責任"を持つのであって、自分が全てを行う必要はありません。

その為、システム構築等の専門スキルを有する必要は無く、プロフェッショナルをまとめ上げられれば良いのです。

なんという抽象的なスキルでしょう…。

 

②どんな業界にも存在しており、希少性が無い

①にも関連しますがスキルとしての参入障壁が低い為に、どんな職種であっても存在する役割です。

転職市場において「プロマネ」の経験程、ありふれているスキルは無いんじゃないかと思います。

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この二つが僕が当初から感じていた事であり、現在も感じているプロマネの汎用性だと思います。

とはいえ、優秀なプロマネとそうでは無いプロマネが存在します。その差は何でしょうか?

僕は以下がそれにあたると思います。

 

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【成功を導くプロマネになる為には】

①プロジェクトの優先順位を関係者全てに合意・理解させる事

急に個別具体的になりますが、この事項だけでもプロジェクトの混乱・遅延を防げると思います。

プロジェクトを進める中で、往々にしてトレード・オフの判断をしなければならない事態に直面します。

その際、毎度毎度「何を優先すべきか」を検討している様では、時間の無駄です。

全ての関係者が、優先すべき事項を共有しているからこそ、無数に発生する判断を正しく・素早く導く事で

プロジェクトの成功と納期遅れを防ぐ事が出来ます。

案外、この点をナァナァにして進めている事が多いと思います。

 

プロマネは無知である事を理解する一方、あらゆる前提を疑う事

プロマネは何の専門性も無いので、専門性を有する各メンバーへのリスペクトを忘れず

自らの判断で決定をするのでは無く、情報を共有した上で意見を求めなければいけません。

自分の判断だけでは必ず抜け漏れがあると認識し、専門性の高いメンバーから有益なアドバイスをもらいましょう。

※最終判断は、ビジネス観点含めてプロマネがすべき

一方で、メンバーは近視眼や業界の常識にとらわれがちです。無知なプロマネからは「なんでその前提なんだ?」「なぜこう決まってるんだ?」と感じるポイントもあります。

しかも、そこがボトルネックであるならば、そのまま進めるのでは無く「改善余地は無いか」を納得できるまでヒアリングしましょう。

特に業界が長いメンバーは、慣習や思い込みで決めつける事が多く、関係者同士で調整したり代替案を提示する事で

ボトルネックの解消になる事が多々あります。

"無知だからこそ、アホなふりをして聞く" 非常に重要なスキルだと思います。

 

③事前に徹底的なリスクのパターン出し+共有を行う

プロジェクトにおいてトラブルはつきものです。想定外の出来事も良くおきます。

その前提で、しかしながら徹底的に事前のリスク出しは行うべきなのです。

シミュレーションをしていれば、不慮の事態が起きた際も落ち着いて対応ができますし、その覚悟をする事が出来ます。

最も避けるべき事態は「すみません…こんな事が起こるとは…」という事です。

あらゆる事態を想定し「確率は低いが、こういうリスクは想定される。対応はコストがかさむので見送るが、万が一の事態ではこう対応する」という事を関係者に周知する事で

トラブルが発生しても「事前に検討してくれていて助かった」とプロマネの評価はあがります。

こうしたきめ細かい対応が、関係者に「安心感」を生む。それもプロマネとして必要なスキルだと思います。

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長々と書きましたが、プロマネに求められる最も重要なスキルは「信頼性」だと感じます。

それがあればチームメンバーも受発注先も、プロマネを信じて最大限の結果を出せる。

上司の管理コストも低くなり、結果的に裁量権をもたせてもらえる。

 

まだまだ半人前ですが、そういうプロマネになれるよう、日々精進します!

【自己啓発】知性を磨く「スーパージェネラリスト」の時代

田坂広志さんの著書を久々に読みました。

内容は、この変化の多い時代に「どう生きるか」「何が必要か」を示された本。

テクニック的な物は何も無く、丁寧に言葉の定義であったり理由であったりを

説明してくれる本で、非常に勉強になったし気づかされる事も多かったです。

示唆に富む本だけに、簡単にまとめる事が非常に難しいですが

特に自分の心に残った部分を抜き出して備忘録と致します。

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①「知」に関わる言葉の定義について

「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力の事

「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力の事

 

「知識」とは、「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるもの

「知恵」とは、「言葉で表せないもの」であり、「経験」からしか掴めないもの

「知性」の本能とは、「知識」では無く「知恵」である。

「知性」とは、容易に答えの見つからぬ問いに対して、決して諦めず、その問いを問い続ける能力の事。

〈所感〉

非常に腹落ちしました。物知りで仕事も早いが、出世のみを考えて動く人。

若くて勢いだけだけど、色んな人に話を聞いたり動いたりしている人。

後者に魅力を感じるのは、正に「知性」を感じるからに他なりません。

 

②スーパージェネラリストに必要な「七つのレベルの思考」について

 専門家(スペシャリスト)は、もう十分にいる。

我々が本当に必要としているのは、それら様々な分野の研究を「統合」する

「スーパージェネラリスト」だ。

それは様々な専門分野を、その境界を越えて水平的に統合する「水平統合の知性」を持った人材の事である。

それに必要なのが「7つのレベルの思考」であり、レイヤー階層の高い順に

「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」に分類される。

これらを垂直統合する事で、結果的に異なる専門分野であっても、水平統合できる知性を身につける事が可能となる。

 〈所感〉

思考のレイヤーを、これほど細かく分けてくれた分析は初めてでした。

これら7つはバランスを取る必要があり、偏るとダメ。

自分で限界を作る事無く、全て意識的に上下させながら成長させていく事が必要、との事。

現場のサラリーマンだと、ついつい「戦術」「技術」「人間力」にとどまりがち。

意識を持ち続けようと思います。

③「未来の変化」への対応について

我々は、未来の「具体的変化」を「予測」することはできない。

しかし、未来の「大局的変化」を「予見」することはできる。

例えば、水は必ず低い所に流れる。そうした大局観による「予見」は可能という事だ。

物事の変化・発展、進歩・進化においては古く懐かしい物が、新たな価値を伴って復活してくる。

それが「螺旋的発展の法則」である。

〈所感〉

この点も目から鱗。仕事を行うにあたり「何の事業を、どう動かすか」という点で未来予想は必ず求められます。

その時に、私はいつも苦心していました。確実で無い事を話すのは、最も苦手な事なのです。

しかし過去の事象や大局観から「予見」は出来るのだと気づきました。

むしろそれを行わないと、結果的に大きく外れた事を行ってしまう、という事も。

 

④「知識」の陳腐化と「知恵」の重要性

知識社会とは、実は「知識が価値を失っていく社会」。

ネット革命は「知識社会」というものを加速していくが「言葉で表せる知識」は急速に価値を失っていく。

代わりに「言葉で表せない知恵」が評価を高める事になる。

 

〈所感〉

社会人になり勉強しようと思うと、つい「知識」を増やそうとして、ノウハウ本や資格に手が伸びがちです。

しかし、それらはネットや交通インフラの発達により、容易に獲得できるものとなっています。

それよりも、自分が仕事やプライベートで築き上げてきた「知恵」を如何に言語化し

内省して深めるか、またそれを仕事でアウトプットと出来るかが如何に大事な事かを痛感しました。

【メディア】メディアの苦悩 28人の証言

電通新聞局→CCI→JIAAと、正に日本のメディア業界を広告側から支えてきた長澤さんの著書。

表題にある様に、インタビュー形式で各メディア関係者と現状・課題・未来を語っています。

この本の中では、特に一貫した議題も回答もありません。各メディアの方々が、自分達の立ち位置で感じている事を長澤さんとお話されています。

私自信、メディア側と広告側で仕事をしてきましたので、非常に示唆に富んだ本でした。

下記に、簡単ですが本のまとめを記載致します。

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【メディアには”信頼性”が非常に重要である】

新聞は、凋落するばかりと言われているが、一方で取材網は圧倒的に強い。

情報の真偽を確かめ、言葉に落とし込む為のコストは、ネットメディアと比較にならない。

インターネットでは、ステマ問題をはじめとした「広告とコンテンツの曖昧さ」が問題になっている。

また、twitterを初めとしてデマも多く見られ、メディアとしての信頼性は低いと言わざるを得ない。

その背景には「PV至上主義」「乱暴な自己責任論」に代表される利益主義がはびこっており、その結果が「ウェブはバカと暇人のもの」でも言われている様な状況に陥ってしまっている。

また、ウェブメディアは広告審査も甘い部分があり、ステマ問題や楽天優勝時のセール問題は、それが露呈した結果である。

〈所感〉

マスメディアは情報を自ら取得し、それにフィルターをかけて研ぎ澄ました形で世の中に出していきました。

一方、ウェブは玉石混合の情報をそのまま世の中に出し、間違いであろうともPVがとれれば問題無し。

今、世の中はウェブを面白がっていますが、将来的な成長という観点でみると健全では無く、まさしく帰路に立っていると思われます。

 

【マスメディアへの接触ポイントを作るネットメディア】

ヤフーは「ヤフーニュース」がポータルのメインコンテンツ。

そのニュース記事自体は、全て新聞社・雑誌社から提供されており、ヤフーは記事と読者をつなぐ橋渡しをしている。

また、上記のスタンスから基本的には論説を行っていなかったが、ヤフー個人やビッグデータ解析により、別の個人やデータに論説を代替させる仕組みも出来上がっており、徐々にマスメディアの領域にも進行をしている。

一方で、配信社からすると「コストをかけてつくった情報を”ご苦労さん”と言われて吸い上げられている様な気もする…」という意見もある。

更に現在では、スマートニュースの様なアグリゲーションメディアも増加しており、直接の1次情報では無い接し方が増えている。

〈所感〉

結果的に、マスメディアが囲っていた領域をネットメディアが侵攻しているものの、そこと組まない限り更に状況が悪化する、という形になっています。

しかし、その選択はユーザーがしたものであり、最早不可避な流れです。

既存マスメディアも、従来のビジネス構造が特殊であった(=権益に守られていた)部分もある為、ネットメディアを含めた”オープンな”ビジネスモデルの構築を目指すべきでしょう。

 

【よりオープンに、より恣意性を持つ様になる情報】

ウェブの発達により、個人がメディアになる時代が来ている。ホリエモン津田大介が自らメルマガを発行して売り上げをたてている。

また、中国では国からの検閲を逃れる為、微博(中国版twitterSNS)で地方政府の悪事を発信する等、従来では出来ていなかった個人の発信を行っている。

このオープン化は、発信者にとどまるだけでは無く、発信内容も同様だ。

東浩紀氏は、ネットは「下半身」を見せるメディアだと語る。

これはポルノの事だけではない。「上半身」をマスメディアのみの時代に語られた、綺麗に言語化された情報だとすると、「下半身」は右傾的や排他的な言語等、従来マスで語られる事の無かった内容が見える様になった、という事である。

 

上記でも挙げたが、ネットメディアで流行しているのは「キュレーション」「アグリゲーション」メディアであえる。

それらは裏を返すと、自ら一次情報に接さず他人がまとめた情報を見ているという事だ。

そこには何かしらの恣意性が働く場合もあり、その事を頭に入れて接しないといけない。

〈所感〉

これからも情報は爆発的に増え、ネットには玉石混合の情報が広がります。

それらは、マスメディアで見た事が無い様な(悪い意味で)刺激的なものもあります。

情報処理能力は限られている為、我々はそれらを「キュレーション」された形で受け取る様になりますが、そこには知らず知らずの内に操作されている可能性もあります。

そうした事態を防ぐ為にも、一次情報を確認するやソースを確認するといった、メディアリテラシーを個人がつけなければなりません。

また、恣意性を持たない信頼性のあるメディアが、マスメディアと良好な関係を築く事で組織として存続できる様なマネタイズ手法も、議論を進める必要があります。

現在はPV至上主義。信頼性が無くとも、PVが取れればマネタイズが出来てしまう状態です。

スマホの普及もひと段落し、今後こうした議論をマスメディアを巻き込みながら進めていき、安心・安全なスマホメディアが出来る事を願います。

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