Web広告(レップ)のマーケティング社畜の備忘録

日々のニュースや雑感を備忘録的にまとめます。

ネイティブアド広告とは、結局何なのか?

仕事でメディアを運営しているのですが、マネタイズ手段としての純広告が本当に売れなくなっています。

業界の人からすると当たり前ですが、殆どのメディアが〈量〉を強みとするアドネットワークへの参加をしています。

この流れ、買う側からすると「枠買い」を目的とした場合では嬉しい事だと思います。

実際、CPC(1クリックあたりの価格)が20円~30円が当たり前と、純広時代では考えられなかった価格に下がってきています。

一方でクリックが各メディアに分散し、その量を確保しようとするとクリック単価を下げる設定が必要で、結果的にメディアに入ってくるお金は減っています。

 

その流れの中、注目されているのが「ネイティブアド」という広告の形です。

アメリカのメディアではこの広告形態に、伝統的な新聞社のNew York Times、Washinton Post、Wall Street Journalから、新興のバイラルメディアであるBuzz Feedまでが取り組んでいます。

 

このネイティブアド、日本でもバスワード化しておりますが、実は明確な定義がされておりません。定義がバラバラすぎて、かなり混乱します。

実際、アメリカでも下記のようやくその定義について、まとめる動きが始まったそうな。

バズワードとして米国のネット広告業界では認識されてきたが、その定義や目指す方向は立場によって異なっている。そこで米インターネット協会(IAB)も定義を固める必要に迫られ、先ほどネイティブ広告のタスクホースを設立したばかりである。*1

以下に、述べられている定義の種類を書きますが、ポイントとしては

①広告枠の形態を指しているのか?

②広告枠とその先の内容を含めた事を指しているのか?

の2つかと思います。

■ネイティブアドとは何か?

iMediaConnectionによると、ネイティブ広告は、“ユーザーの消費体験にシームレスに統合するようにデザインされた広告ユニット”として定義されている。*2

→①広告枠の形態を指していますね。 

「ユーザーがいつも使っているメディアもしくはサービスの中で、自然になじむデザインや機能で表示されるペイドメディアの一種」

と定義されていました。*3

→こちらも、①広告枠の形態を指していますね。

ネイティブ広告の特徴

(1)広告コンテンツはスポンサー(広告主)が独自に提供する。原則として、メディアの編集者は関与しない
(2)消費者が、メディア編集コンテンツと同じようなルック&フィールで、広告コンテンツ(スポンサー提供コンテンツ)にも接触できるようにする。ただし広告コンテンツには“広告”と明記する
(3)広告コンテンツは消費者(掲載メディアのユーザー)にとって役立ち、あるいは面白いものにする
(4)モバイル端末にも適応できるフォーマットにする 

*4

→これは、②広告枠とその内容についても定義しています。

 

という事で、どう定義すべきかが非常に難しいです。そこで、もう少し深く考えてみましょう。 

ポイントは「ユーザーと信頼関係を気づけるか否か」にかかってくると思います。

 
■ネイティブアドが注目されている背景

そもそも、従来のバナー広告が収益の方法として稼ぎ辛くなった、というのは前述したとおりです。

加えてユーザーからしても、どの場所でも同様の形で提供されているバナー広告は、目障りな物として認識される様になり「無視」される対象となりました。

一方、ネイティブアドはサイトコンテンツと同一フォーマットで、ユーザーに提供されます。

その為、ユーザーは意識的に「無視」しないで接触してくれるという事です。

一方でルールとしては「PR」という文言を付けるメディアが殆どです。

もし、「PR」がついているコンテンツの殆どが、ユーザーに好ましくないコンテンツだった場合、どうなるでしょうか?ユーザーが無視する様になるのは、時間の問題だと思います。

 

例えば、キュレーションニュースメディアGnosyはネイティブアドという名目で広告商品を提供していますが、そのリンク先は金融系広告主の売り込みサイトである事が多いです。

はたして、その広告はユーザーに「求められている」広告なのでしょうか。

■ユーザーとの信頼関係を築くネイティブアド

やはり、ネイティブアドは②の様にその内容も含め、議論すべきです。

ネイティブアドについて、有識者である高広伯彦氏は以下の様に述べています。

ネイティブ広告は単に広告の枠組みだけではなく、コンテンツマーケティングの観点も踏まえて考えなければなりません。なぜなら、ネイティブ広告が他の広告と大きく違うのは、「広告枠用の広告素材を作る」ということがほとんどなく、コンテンツのサマリーが広告として配信されるからです*5

コンテンツマーケティングについては *6に詳しく書いておりますので、ご覧下さい。乱暴に要約すると「ユーザーに役立つコンテンツを提供する事」です。

それをサマリーで提供できる広告。それが「ネイティブアド」。

 

掲載するメディアのコンテンツと同じ形式で、役立つ情報のサマリーを掲載する。

その先では、キチンとユーザーに価値ある情報を提供する。

ユーザーは、ネイティブアドに触れた時に「価値ある情報」の提供を経験できる。

そこに生まれるのは、メディアと広告主・そしてネイティブアドに対する「信頼感」です。

この形こそが、今まで無関心という関係にまで成り下がった「広告とユーザー」が目指す、新しい形では無いでしょうか。

 

勿論、コンテンツ自体を用意する事は難しい事で、広告主として新たな取組みになるでしょう。

しかし、現状のままでは誤クリックを誘発したり、PV至上主義になり低俗なコンテンツを大量生産するメディアと、とにかく広告効果を上げる為に煽り表現を多用する広告主、それにうんざりするユーザーという悪循環をとめる為の、新たな方法だと思います。